絶対的平等と相対的平等

1.絶対的平等について

 (1)被相続人への感謝
   (公正遺言・自筆遺言を極力尊重、実態に合わない場合は全員で協_____議)
 (2)先祖供養の弔い(1周忌・7回忌など)
 (3)親族の思い出・旅行・写真の整理整頓
 (4)菩提寺・お墓の管理—-→資金負担・労務提供(外注を含む)
 (5)相続財産の分配までの管理と手続き—→全員が一致団結

2.相対的平等について

 (1)事業への想い(後継者・労力・資金提供)
 (2)相続財産の平等分配(同族株・不動産の共有化—→事前対策  _____を協議・準備)
 (3)評価額の相対性
    —-→同じ広さの土地でも、形状・段差・道路への接続他により、_____同じ評価はなし。
    上物があると、さらに違う評価方法が加わる。
 (4)相続分の範囲—→被相続人の考えを基本に考え、納得できない事項____は持帰り検討する。
   (遺留分~法定相続分の間を基本とする)—-→エンディングノート・____遺言の付言事項
 (5)遺言書捜索・相続放棄・限定承認等は抜け駆けをしない—-→全員で____協議
 (6)遺産額が多ければ多いほど、負担額も累進的に増える(相続税は基____本1回限り)
    ランニングコストを10年、20年の期間で見ると、手取りはどう____なるか

    <例>自動車—-→名義変更・自賠責保険・自動車保険・自動車税・_______駐車場代・ガソリン代
  (相続財産) 車検代・備品代・消耗品代・洗車代・廃車費用等です。
      結構かかります。

 ***揉めるケースへの対応と考え方
   —→揉めていいこと、何も無。現実に「漁夫の利」になることも多い。—→専門家に相談

  ・「自分が1番」の考え方はやめる。
  ・「これだけもらって当然」は当然でも必然でも無し。結果は「愕然」____となる。
  ・相続の相談をできる人(メンター)を持つ。(出来れば複数人)
  ・正式な相続人への連絡をしないで、一部の相続人が行った分割協議は____無効。
   このケースは身内裁判【争族】になり、遺産額を減らすことにつなが____る。仕事にも影響あり。

やらなければならない事と期限

1.やらなければならない事
**通夜・葬儀・納骨等のセレモニー等は除きます。

(1)相続人捜し—→1~130日をメド
まさかの人を養子縁組(内縁)又は胎児(双子・三つ子)、認知した_____子などをさがす
<例>子供と結婚した嫁を養子縁組したが、3年経って離婚した後、________放っておいた場合元嫁は養子となり、実子がいても相続人とし________て実子と同等の権利を持つので、
離婚と同時に養子縁組解除が必要だったケース______________(揉めるケース)

(2)遺言書捜し—→10~30日をメド
公正証書があっても、自書遺言書が存在する場合もある
***自書遺言は家裁での検認を要すので、事前に日程調整や届出も必要

(3)財産さがし—→10~70日をメド
すぐに見つかる不動産・預貯金・動産・家庭用財産を除く、見落とし_____がちな財産や
最近は特に海外財産(物件に要注意)をさがして、財産目録を作成
<例> 先代・先々代の残された名義変更前の財産、未登記財産、農_________協・漁協の出資金
、ガラクタ同然と思われた高価値の骨董品など

(4)専門化(専門家の中の専門)さがし—→50~60日をメド
・税理士—-→ 相続税特例適用(遺産分割の可否)と税務署への届出を___________確認
・弁護士—-→ 3ケ月以内の放棄と限定承認への対応、遺留分減殺請____________求への対策
・中小企業診断士-→ 事業承継に係る対策・手段の選択とその後の取組み

(5)放棄と分割(限定承認を含む)—→50~80日をメド
*プラス財産<マイナス財産の時、又は不明な時—-→ 弁護士相談後_____に対応
・相続放棄の申請(手続き)
・他の相続人への早期連絡(第2・第3順位の相続人を含む)

2.期 限—-→タイムテーブルを作成の上、それぞれに並行対応
1.の(1)~(5)までを順調にこなすには、事前にある程度決めて______おくか、担当割、分担分けがされていないと、事実上は不可能_______(プロへの早期の依頼の場合を除く)

<例>3ケ月、相続放棄などの申述書の提出
4ケ月、所得税の準確定申告書の提出(被相続人の申告書だが、相続______人の連名が必要)
10ケ月、相続税の申告書・添付書類・猶予・延納・物納の担保提供書_____等(一式揃い)

(1)事前対応(一部又は全部)
(2)進行対応~事前対応で分割できなかった遺産の再協議と分割
(3)事後対応~事前対応の時にはなかった状況の変化
—→法律改正、評価方法改正(変更)、相続放棄人の出現など

*一番困る(時間をとる)のは、想定外への対応—-→ 時間・お金・労力____—-→ プロへ依頼(人・手間・暇が予想できないケースもある)

相続財産の処分はいつか

答え:「思い立った日が吉日」で、処分を第一に考える
但し、不動産や事業用の財産は除く。

理由:遺しても、相続人には無用の長物になるだけ

1.日用品・化粧品・安い骨董品は財産価値がほとんどなし

2.形見分けでも父親のスーツ・ズボンは無用の長物
ただし、カフスボタン・ベルトは使い道がある可能性あり

3.母親の着物は値段が高くても、色やデザインが合わないため、利用価値はなく、タンスの肥し。
桐ダンスも同時処分をする。(処分しなければ、タンス自体が肥しになる)
最近の子供たちが着物を着るのは子供の入学式・卒業式だけ。(着付けも自分でできない)

4.バイク・スクーター・モーターボートの類は家族で乗れる人がいなければ、即処分

5.セカンドハウス・別荘については「家族会議」で意見を聞いてみる
全員一致であれば、即処分。什器・備品も同じ。

6.古美術品・フィギア・釣り道具・将棋や碁盤についても高額なもの以外は即処分

7.本・雑誌の大量保管は家族にとっては「無意味」、生前処分ができなければ、相続開始後に
古本屋に売却

これらすべては売却したら—-→遺産の中に含まれる財産となるので要注意(ゴミ扱い禁止)

相続対策はいつから

答え:早ければ早いほど良い

理由:相続税対策の基本

1. 生前対策
   ➀贈与金額 ✕ ➁長期期間 ✕ ➂人 数(推定相続人以外を含む)
  <例>
  暦年贈与 —–→ 110.1万円 ✕ 15年 ✕ 3人 = 4954.5万円—-(1)
  税  額 —–→ 00.1万円 ✕ 15年 ✕ 3人 = 0.45万円——(2)
  (1)-(2)より、4954.05万円
   3人に15年間、現金贈与した結果、4954万円が課税財産から各相続人に移り、
   税額を30%として計算すると、1486.2万円の節税効果となります。
  (注)3年以内加算がないとして税額を算出。

 例の➀・➁・➂をそれぞれ次のように変えてみると、約4倍の節税効果が更に表れます。
   ➀110.1万 —→ 200万
   ➁15年 —-→ 20年
   ➂3人 —→ 5人(推定相続人以外2人を含む)
  暦年贈与 —–→ 200万円 ✕ 20年 ✕ 5人 = 20000万円—-(1)
  税  額 —–→ 9万円 ✕ 20年 ✕ 5人 = 900万円——(2)
  (1)-(2)より、19100万円(約2億円)
  税額負担は毎年ありますが、着実に節税効果を上げるとともに、それぞれの贈与資金の有効
  利用もその都度、自ら決めることができます。

 **但し、次の注意点に気をつけて(贈与者と受贈者の連携が必要)
  1.贈与契約証書を作って保管すること
  2.贈与税の申告書は受贈者が自ら行うこと(税理士作成の場合は署名押印を自ら行うだけ)
  3.現金移動は贈与者の口座から受贈者の口座に振り替えること
  4.贈与金口座のお金の使い道を明確にして、証拠保全を受贈者が自らから行うこと
  5.印鑑や通帳の保管は受贈者がしっかり行うこと

2.配偶者の特例(贈与税控除)
 20年以上夫婦であれば、居住用財産を2000万円贈与できます。これは物凄く節税効果を
 上げることができますので、条件に合う夫婦は検討事項です。

 ただし、不動産取得税が登記時に、固定資産税が翌年の四月から、受贈者(配偶者)の負担に
 なります。しかし、贈与税の3年以内の加算対象にもならない点は実務上の特典の1つです。
 更に小規模宅地等の面積が広い被相続人にとっては、さらなる特典になります。

 最後に、住み替えを考えていたり、マンションを購入予定がある場合には、検討を要します。
 この配偶者の特例は同じ夫婦間では、「1回限り」の制度ですので、贈与対策の中では「決断」
 が必要です。

 実務で経験したことですが、この特例を翌年に予定していた夫婦が、前年に夫が死亡してしまい、
 この特例が使えませんでした。
 しかし当時はまだ基礎控除が5000万円+1000万円✕法定相続人の数でしたので、税金は
 かかりませんでしたが、申告は必要でした。

 このように、人の死亡(日)は自分達では決められませんが、生前対策は自分たちできめられ、
 ある程度の対策をとると共に事後の対策を考えながら税金対策、より積極的な生き方、お金の
 有効利用を複数年どころか長い年月可能にするのです。

 注意点に気をつけながら、節税効果を生む、特例や対策は不可欠です。そのときは専門家である
 税理士がついていると長期対策や特例のほか、譲渡や相似相続にも有効です。

事前対応か事後対応か

答え:事前対応の方がベター

理由:選択肢がたくさんあり、計画的に対策がとれる。場合によっては変更もできる場合が多い。

納税資金について—-→不要な土地・建物・美術品・動産の処分の検討をしながら1~3を考慮
 
  1.不足する場合~1,000万円/推定相続人2人
   (1)保険対応が可能か
   (2)不動産任意売却か申告期限直後に売却可能か
   (3)相続人本人たちの自己資金での弁済が可能か
   (4)延納の手段は有効か~利子税が結構かかる

  2.延納する場合
   (1)理由書・担保物件は認容されるものか
   (2)延納期間の収支計算は黒字か赤字か
   (3)相続財産を活用後、累計でプラスとなるのか
   (4)税務調査があり、追加の納税資金や延納物件の提供は可能か

  3.物納を検討する場合
   (1)すぐに売れて、納税額を担保できるか
   (2)物納の許可が降りるまでの税金負担は可能か
   (3)延納変更又は任意売却への変更は可能か

相続の申告は自分達で、行ってはいけないのか

答え:ほとんどの相続人には相続関連問題・対策に割いている時間と労力はないことから考えて
   みると、答えは自ずと出ます。

理由:申告書を書いて出せる人はいても、今後長年に渡り、対策、特に各相続人の状況を考え
   ながら、対応や行動できるかどうかを考えて、答えを出すのがカギ。
   あなたは、次の1~6の事項(ケース)を全てクリアできますか

 1.相続時精算課税や相続放棄があった場合の取り扱い

 2.遺留分の減殺請求(実地対応と解決策)

 3.遺産分割協議の重要性と段階的措置・対応 —–→ 対応を誤ると、多額な納税資金が必要

 4.金融機関対策~名義預金・名義株・多額な出費(使途不明)

 5.相似相続(前回からの資産・貯蓄の流れと引継ぎ)

 6.3年以内の不動産の売却~取得費加算か3,000万円控除か(該当する場合に限定)

相続はシンプルか困難か

答え:相続人しだいで千差万別

理由:人間は生き方・育ち方・考え方で、同じ兄弟や親子間で全く違う価値観を相続人それぞれが
   持ってしまうからです。

  親族の場合 父・・・女の子に甘い、優しい、家事手伝いをさせる、
        母・・・男の子に甘い、勉強・スポーツを重視
        兄弟・・競争・喧嘩が絶えない(大人になっても仲が良くない)
        姉妹・・競争をし合う・張り合う(見栄の張り合い)
 
** 上記は一般例で、すべてのケースにはあてはまらないですが、これにお金=相続財産の取り分と
   オヒレ・メヒレがつくと、相続が争族に変化してしまうケースも意外と多いのが現実です。

   では、どうするのがベストかを考えてみて下さい。
   相続開始前の対話や、日頃の親子間・兄弟間の接し方にヒントがあるように想えませんか?

   近年は「終活ブック」「エンディングノート」が活用され始めていますが、必ずしも、効果的な
   ものになっていないのが現状です。

   ではどうすればよいか? 
   ある話合いや交渉をタイムテーブルに合わせながら、今後の相談と対応策を重ねていくこと
   で『一致点・妥協点を見出す』と共に『解決策の具体化を示せる』ようにすることが
   まず第1歩です。(コンサルタント業務となりますので、ご留意ください。)

税理士選びの決め手は?

答え:相続人との相性が一番

理由:人間だから「相性が合わない人」に業務依頼はなし。相続は『お金の問題』だけではない。

1.報酬が安い・高い(と言う基準)で選んでしまうと
  登記は司法書士、申告は税理士・会計士、相談は弁護士(もめたら)・行政書士と分担します。
  多くの士業の方々は連携・提携をしていますので、窓口の1本化=オールインワンの業務体制
  を整えていると思います。
  相続人自ら探すとなると、自分や親戚の知り合いを起点に探したり、税理士会ほかのHP・
  相続専門事務所HPを観て連絡をそれぞれ行うことになります。
  トータルで計算すると高くなるケースがほとんどでしょう。

2.職業によっても、千差万別
  例えば、医者・不動産物件(特に賃貸)が多い・農家等の場合は特殊です。
  医者の場合は職業に関連する顧問税理士との関係、不動産所有の場合は物件確認を素早く、
  きめ細かく判断・評価する必要があります。農家の場合は後継者難で後継者がいたとしても、
  納税の猶予の届け出と担保設定など、相続人が単独で行うには、通常困難です。
  ましてや、分割協議が進まないと大変困難になります。

3.税理士の専門性(職業別)がない人に依頼すると・・・
  例えば、農家の場合
   税理士の中には1反=10a=〇〇㎡=〇〇坪 がはっきりしない人や農地法の関係法令も
   日頃からなじんでない人も大勢います。基礎的なことは相続の本にはほとんど乗っていま
   せんし、試験には出ないので知らないのが普通ですし、農業の実務研修も行わないので、
   会計や税法しか勉強していない現状なのです。
   こういった特殊ケースは医者・不動産・建設など多くあり、多くの税理士が自重している
   (やりたくても分からない・やれない)のが、現状です。

** 当然ですが、税理士選びはまず会ってみて(有料でも)、専門性の有無と相性が合うかどうか
   を確かめてから、相続の依頼又は相談をするようにしてください。
   わが事務所では、本音ベースで『なぜご連絡をいただいたのか、経緯をお話し』していただく
   ようにしています。—-→ ヒントが隠れているケースもあります。
  
   最後に私の場合は、農業経験、相続経験、税務経験があることを記しておきます。

税理士・弁護士は必要か?

答え:相続人だけでなく、関係者にとって、税理士・弁護士も必要です。

理由:「経験に勝る知恵なし」だからです。
 
1.会計専門税理士や刑事専門の弁護士に相続の相談や依頼をするでしょうか
  あなたはクライアントとして、依頼されますか?

2.国税OBはどうでしょうか
  資産課税経験の職員は全体の3~5%です。しかもそのほとんど全員が退職後、開業税理士
  になっていません。現実に納税者サイドで探すには手間ひまがかかるのが現状です。

3.多くの相談者の方から、「相続専門の税理士をどう探したらいいですか」と言う質問を受けます。
  私は「あなたはどのように探しているのか」を聴いてから、答えるようにしています。

4.基礎控除額=『3000万円+600万円(法定相続人1人)✕法定相続人の数』
        は知っていますが・・・
  現実に分割協議が済んでいない場合、遺産総額が基礎控除を下回れば、申告は不要なのですが、
  上回る場合は小規模宅地等の特例適用が認められず、申告と納税資金が必要になります。

  <例> 小規模宅地等の特例、配偶者軽減特例は遺産分割が前提条件になります。
  
  

相続人の立場と役割

1.相続人の立場(死亡日~約7日間)

(1)死亡者の届出

(2)各種手続きの届出

(3)葬儀の手配と準備(打合せ)

(4)お寺への連絡

(5)葬儀終了と関係者への挨拶

2.相続人の役割(死亡日~3・4・10ケ月)

(1)親戚への連絡(通夜・葬儀ほか)

(2)被相続人(死亡者)の住民票・戸籍を入手

(3)遺言書又・公正証書の確認と遺産分割協議

(4)各種届出・名義変更への対応

(5)所得税準確定申告(被相続人)・個人事業の開業届・青色申告の承認申請書ほか(相続人)

(6)相続税申告書提出と納税手続き

(7)相続財産の引継ぎと管理

この他にもまだまだありますが、被相続人の死亡によって、一度に多くのやる事やすべき事が起きます。事前に分かっている場合とそうでない場合は対応への対処の時間に大きく差が出てきます。

では、あなたが「相続人の立場と行動」について、何をどのようにするかを 『冷静に見つめて、正しい行動をする』 までにかかる時間をわかっていますか?これらを理解しておくことが一番重要です。

しかし、実際はほとんどの人(相続人)が事後対応となり、ベターな方法や、モアベターな方法がとれたにもかからわず、被相続人の死亡に伴う事前対応とベター対応が取れていないのが現実です。

ではどうするのが、一番いいかをご一緒に考えて、行動していきませんか?

1.事前対応とチェックリスト

2.分担対応とチュックリストの活用

3.財産目録の作成と適正な遺産分配と手続き

4.相続申告書の提出と納税対策への解決策

5.相続人の暮らしと今後の変化への対応

以上、5項目は基本中の基本です。

もしあなたが50日以内に、概ね遺産分割協議と分配手続きができていれば、実務家や専門家(税理士)に相談する必要ないかもしれませんが、2ケ月(60日)迄に済んでいなかったり、進行中(停滞中は除く)でないとなると、かなり厳しい状況です。

勿論、相続税の申告が不要となる場合や、納税負担がない場合もあるでしょうが、負担額がない場合でも、特例適用の場合は申告が必要です。ましてや、実際に数百万も納税する人(相続人)の身になってみたら、平常心でいることすら大変なことなのです。

どうか争族にならないように、期限内申告が終われるように「相続人の立場と役割」を常に考えて、相続人としての行動を実践してみて下さい。